• クリアケースやクリアファイルでお馴染みのプラスチック印刷は、通常のオフセット印刷機では印刷できません。UVランプを搭載したUVオフセット印刷機によって印刷されます。透明な素材であるため裏面から印刷する場合が多く、カラーなどの印刷の後から白インキを載せて透過を防ぎます。反対に表面から印刷する場合は、白インキの後からカラーなどの印刷を行います。 プラスチック印刷のネット通販はこちら

  PPフィルムを印刷中

• 静電気防止対策：

  プラスチック印刷でもっとも厄介な問題は、静電気による印刷不良が上げられます。プラスチックフィルムは電気を通さない絶縁体なので帯電しやすく放電しにくい物質で、低温・乾燥時にはさらに放電しにくくなります。静電気防止としては、工場内温湿度の安定化と印刷機械の性能によるところが大きいでしょう。加陽印刷では、工場の温湿度一定化と静電気除去機能搭載のUVオフセット印刷機を使用することにより製品の品質安定化に取組んでおります。

  工場用加湿器

• ミスト（インキの霧状の飛び）対策：

  　UVインキは、通常の油性オフセットインキと比べてミストが固まって機械や印刷物に付着することが稀にあります。普段から印刷機の手入れが大切ですが、加陽印刷のUVオフセット印刷機はミスト除去装置を全ユニットに完備していますので、プラスチックの高級品にミストが飛び散ることを防止しています。

• コロナ放電処理：

  　プラスチックフィルムは通常そのままでは印刷できません。印刷用に開発された製品は、電極に高電圧をかけて放電させ印刷面に凹凸をつけたり酸化膜を形成させたりしています。これをコロナ放電処理といいます。コロナ放電処理が上手く行ってない場合は、ブロッキングや印刷剥離が起こり、耐摩耗性、耐久性が使用過程で著しく劣化し商品価値を損なう原因になります。安価な製品のほとんどは、このコロナ放電処理を怠っていると言っても過言ではないでしょう。

• クリアファイルがカールする現象：

  クリアファイルに商品カタログをセットして、いざ展示会で配布しようとすると、クリアファイルが大きくカール（チューリップ現象）するトラブルがよくあります。これは、商品カタログや案内状などの印刷物が、よく乾かずにクリアファイルに挟み込むために起こる現象です。 クリアファイルでよく使われている「PP（ポリプロピレン）」という素材が、カタログ紙などの印刷インキに含まれている「VOC（揮発性有機化合物）」を吸収して膨張（内側が膨張するので外側にカールする）する性質によるものです。

  解決方法1. 挟み込む印刷物を十分（通常４～５日）に乾燥させる。
  解決方法2. 挟み込む印刷物に使用するインキをUVタイプ（NON-VOC）に変える。 　

　印刷用フィルムの代表的な素材はPP、PET、PVCの3種類です。透明タイプ、乳白タイプ、片面乳白タイプ、エンボスタイプ、植物系生分解性フィルムなど様々な種類があります。また、フィルム加工紙として、合成紙、蒸着紙などがあります。 　

PP素材（ポリプロピレン）：

　一般によく使われる製品で、高級な高透明PPもありますが、比較的安価で加工性もよく種類も豊富です。クリアファイルやクリアケースに広く利用されています。

PET素材（ポリエチレンテレフタラート）：

　PPやPVCよりも強くて伸縮が少なく透明性があります。高価なため高級品に使用されることが多く、印刷適正も抜群です。また、再生PETなど環境に配慮した製品も広く出ています。

PVC素材（ポリ塩化ビニル）：

　安価でしかも印刷適性が良く、昔から表面加工用フィルムとして定評があります。軟質と硬質があり、特に軟質塩ビは加陽印刷では問題ございませんが、昔から印刷しにくい素材として定評があります。また、焼却時に発生するダイオキシン問題も近年の高熱焼却炉の充実で問題解消し、人気が復活しています。
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蒸着紙：

　全てがフィルムではありませんが、紙をベースとしたPETフィルム貼り紙、ダイレクト蒸着紙・転写蒸着紙・蒸着といった多くの特殊紙があります。これらの多くは高価であり、高級なパッケージや商業印刷などに利用されます。 　
　

蒸着紙（印刷面が鏡面状で天井の蛍光灯を映している）

　

合成紙：

　印刷用に開発された合成樹脂は、当然として広範囲の印刷加工適正を兼ね備えています。ユポやピーチなど種類は限られていますが、紙の美しさやしなやかさとフィルムの強度を併せ持った高級品です。